水につかった車は、直すか手放すかの判断が要ります。その前に、自分の保険で何がどこまで出るのかを押さえておくと、選び方が変わります。車の水没は家の火災保険ではなく、自動車保険の車両保険で扱われます。
車両保険がないと対象にならない
台風や洪水、高潮による水没の損害は、原則として車両保険で補償されます。逆にいえば、対人・対物だけの契約や、車両保険を付けていない契約では対象になりません。まず自分の契約に車両保険が付いているかを、証券か保険会社のマイページで確かめてください。
なお、地震・噴火・津波による水没は特約がないと対象外です。今回のような豪雨による冠水は、通常の車両保険の範囲に入ります。
水没は「経済的全損」になりやすい
水没した車は、修理費が車両保険の保険金額を上回ることが多くなります。この状態を経済的全損と呼び、実際の修理の可否にかかわらず全損として扱われます。エンジンやモーターの内部、配線の接続部、電子部品にまで泥水が入るため、部品交換の範囲が広くなるためです。
| 項目 | 扱い |
|---|---|
| 全損のとき | 契約時に設定した車両保険の保険金額が全額支払われる |
| 免責金額 | 全損の場合は差し引かれないのが一般的(契約により異なるため要確認) |
| 諸費用 | 車両全損時諸費用特約が付いていれば、保険金額の10%程度が上限つきで加算される |
| 等級 | 水害で車両保険を使うと、継続契約の等級が1等級下がる |
等級のダウンが1つで済むのは水害の扱いだからです。自損事故などで使う場合の3等級ダウンとは違います。翌年以降の保険料への影響も、その分小さくなります。
床下だけの浸水でも請求できる
水が室内まで来ていなくても、マフラーやエアクリーナーから水が入ればエンジンは傷みます。外から見て動きそうでも、まず保険会社へ連絡してください。実際に修理費がいくらになるかは、点検してからでないと分かりません。自分で判断して修理に出す前に、保険会社が指定する手順を確認しておくほうが確実です。
連絡するときに必要なもの
- 被害を受けた日時と場所
- 車の状態がわかる写真。全体、水につかった高さ、室内、ナンバーが読めるカット
- 証券番号
- 車検証
写真は動かす前に撮ります。レッカーで運ばれたあとでは、どこまで水が来ていたかを示せません。同じ写真は、市町村が発行するり災届出証明書の申請にも使えます。車庫や車両などの動産の被害は、住家を対象とするり災証明書ではなく、り災届出証明書の対象です。
廃車にする場合の還付金
全損になって廃車の手続きをとる場合、支払い済みの税や保険料のうち未経過の分が戻ります。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 自動車税 | 抹消した月の翌月から年度末までの分が月割りで還付される |
| 自賠責保険 | 残りの期間に応じて還付される |
| 自動車重量税 | 解体を伴う永久抹消登録をした場合のみ。車検の残りが1か月以上必要で、申請から3〜4か月後に還付される |
重量税は、一時抹消では戻りません。解体して永久抹消登録をするときに、還付申請書を一緒に出す必要があります。手続きは業者に任せることもできますが、還付の申請が含まれているかを確認してください。
直す前に確かめること
国土交通省とJAFは、水につかった車について自分でエンジンをかけないよう呼びかけています。感電や電気系統のショートによる車両火災のおそれがあるためです。バッテリーのマイナス側の端子を外し、販売店か整備工場に相談してください。ハイブリッド車と電気自動車は高電圧のバッテリーを積んでいるため、むやみに触らないよう注意が出ています。
県内ではJAFに約2,000件のレッカー要請が集中し、順番待ちが続いています。時間がかかる前提で、先に保険会社へ連絡しておくと段取りが進みます。
確認先
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全損と言われると損をした気持ちになりますが、免責が引かれず等級のダウンも1つで済むのが水害の扱いです。修理にこだわる前に、保険金額と買い替えの費用を並べて考えてください。
