【千葉県】冠水した道路に車で入ると何が起きるか|8月の千葉豪雨は13人中7人、台風25号も1人が水と車で亡くなった

台風25号 千葉県の影響 交通・被害・ライフラインの最新状況

千葉県で2026年8月13日からの千葉豪雨で亡くなった13人のうち7人は、冠水した道路や水没した車の中で見つかりました。9月の台風25号でも、印西市船尾で水没した車両の付近にいた60代男性が亡くなっています。いずれも県が公表している人的被害の概要に、場所と状況が1件ずつ記載されているものです。水につかった道路は、車で入ってよいかどうかを外から判断できません。実際に何が起きたのかと、JAFのテストが示す限界を並べます。

目次

千葉で実際に起きたこと

県の被害情報に記載された、水と車に関わる死亡事例です。年齢と性別も県の公表どおりです。

災害 場所 状況
8月千葉豪雨 佐倉市臼井台(66歳女性) 道路冠水で自動車に閉じ込められていたところを発見され、その場で死亡が確認された
8月千葉豪雨 柏市八幡町(70代女性) 道路冠水で自動車に閉じ込められ、心肺停止
8月千葉豪雨 千葉市中央区村田町(40代男性) 水没した普通乗用車の車内で、心肺停止状態で発見された
8月千葉豪雨 市川市二俣(60〜70代男性) 道路冠水で浮いているところを発見され、病院で死亡が確認された
8月千葉豪雨 八千代市上高野(50代男性) 冠水した道路上で倒れているところを発見された
8月千葉豪雨 千葉市中央区稲荷町(60代女性) 冠水した道路付近で倒れているところを発見された
8月千葉豪雨 千葉市若葉区和泉町(60代女性) 冠水した農道付近で、心肺停止状態で発見された
台風25号 印西市船尾(60代男性) 水没した車両付近で発見され、搬送先の病院で死亡が確認された

8月千葉豪雨では13人が亡くなり、このうち3人が車に閉じ込められた、あるいは車内で見つかった事例です。残る4人は冠水した道路や農道の上・付近で倒れているところを発見されています。歩いていても、車を降りたあとでも、水がたまった場所では同じことが起きます。

8月13日の雨は、千葉市で1時間に115.0mm、佐倉市で97.0mm、館山市で94.5mmでした。1時間に100mm前後の雨は下水道や側溝の処理能力を超えます。道路が冠水するまでの時間が短く、走っている最中に水位が上がることになります。

水深60cmでは、外からでもドアが開かない

JAFが公開しているユーザーテストの結果です。2014年6月3日に、セダンの運転席ドアとミニバンの後席スライドドアで、水深別にドアが開くかを調べています。

条件 セダン(運転席ドア) ミニバン(後席スライドドア)
水深60cm・車外から開ける 通常時の約5倍の力が必要 男性の力でも開けられなかった
完全に水没した状態 24秒でなんとか開けられた 55秒でなんとか開けられた

ドアが開かないのは、車内と車外の水位に差があるあいだ、水圧がドアを外から押さえつけるためです。車が完全に水没して車内外の水位がそろうと開くようになりますが、そのときには車内はすでに水でいっぱいです。セダンで24秒、ミニバンで55秒というのは、水が入りきるまでの時間とほぼ同じ意味を持ちます。

JAFは、車両が前傾して浮いている場合は後席など水圧の影響を受けにくいドアから脱出を試みること、脱出用ハンマーを手の届くところに常備しておくことを勧めています。ただしテストの結論として挙げているのは「安易に冠水路には入らない」ことです。

水深30cmは走れる。その先に余裕がない

同じくJAFの冠水路走行テストでは、水深30cmならセダンもSUVも時速10km・時速30kmで走り切れました。水深60cmになると、セダンはフロントガラスの下端まで水をかぶりながら時速10kmでしばらく走れたものの、途中でエンジンが止まりました。SUVは時速10kmでは走れましたが、時速30kmでは走れませんでした。

問題は、水深30cmと60cmを運転席から見分けられないことです。夜間や濁った水ならなおさらで、道路の勾配やアンダーパスの深さによって、数メートル進んだだけで水深が倍になります。走れてしまう30cmと、エンジンが止まりドアが開かなくなる60cmが地続きであることが、冠水路のいちばん危ない性質です。

アンダーパスは特に深くなる

千葉県の道路交通規制状況を見ると、台風25号では県管理道路の全面通行止めのうち路面冠水が49区間を占め、このなかにアンダーパスが2か所含まれていました。台風前の9月22日7時時点の集計ではアンダーパスは3か所です。

アンダーパスは周囲より低い構造で、排水ポンプが追いつかなければ水がたまり続けます。両端から見ると手前の水は浅く見えますが、最も低い中央部はそれより深くなります。千葉県内では8月の千葉豪雨と台風25号で、佐倉市・八街市・成田市・市原市・山武市などの国道・県道が冠水で通行止めになりました。

入らないために使えるもの

  • 日本道路交通情報センターで、出発前に通行止めを確認する。千葉県は9月23日時点でも県管理道路118区間が全面通行止めのままです
  • 市町村のハザードマップで、自宅と通勤路の浸水想定を見ておく。洪水(河川の氾濫)と内水(下水道が処理しきれずあふれる)は別の地図です
  • 大雨警報や記録的短時間大雨情報が出ている時間帯は、道路が冠水し始めている前提で動く
  • 夜間は水深が見えません。日中でも判断できない深さを、夜に判断できると考えない

冠水した道路にすでに車が入って止まっている場合、その先が深いという明確なサインです。引き返せる場所で引き返してください。

もし水に入ってしまったら

  • エンジンが止まったら、かけ直さない。水を吸い込んだエンジンは再始動でさらに壊れます
  • ドアが開かなければ窓から出る。パワーウインドウは水没後しばらく動くことがあります
  • 脱出用ハンマーは、グローブボックスではなく運転席から手が届く場所に置く。シートベルトカッターが付いたものが確実です
  • 前傾して浮いている場合は、後席側のドアを試す
  • 車から出られたら、流れのある水の中を歩かない。マンホールや側溝のふたが外れていることがあります

台風25号では、雨がやんだあとの佐倉市でマンホールから水が噴き出していたという投稿がSNSでの口コミに出ていました。水が引きかけている場所でも、足元の穴は見えません。

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