豪雨から1週間が過ぎ、片付けは長い作業になっています。千葉市の消毒の受付は8月28日まで延び、国土交通省の見通しでは最高気温30度以上の日がしばらく続きます。泥を出す作業でけがをしたとき、消石灰をまくとき、暑い日中に作業を続けるときに、体のほうで先に起きることを整理しました。
深い傷、汚れた傷は医師に相談する
千葉市は8月19日に破傷風のページを更新し、「破傷風菌は泥や土の中に存在します。災害時は、がれき撤去等の野外作業により受傷し、破傷風に感染する可能性があります」と書いています。片付け作業で最初に警戒するのは、この傷口からの感染です。
破傷風菌は芽胞という形で土の中に広く残っていて、外傷から体に入ります。潜伏期間は3日から21日、平均10日です。症状は口が開かない、顔がけいれんする、飲み込みにくいところから始まり、進むと呼吸が苦しくなります。重い場合は呼吸をする筋肉が動かなくなって窒息に至ることがあります。傷を負ったその日ではなく、10日ほど経ってから症状が出るのが特徴です。
| 場面 | すること |
|---|---|
| けがをした | 傷口を流水で洗い、消毒する |
| 傷が深い、汚れている | 医師に相談する。ワクチンと免疫グロブリンによる接触後の予防を行うことがある |
| 作業に入る前 | 長袖・長ズボン、軍手、足を完全に覆う靴で肌の露出を減らし、けがをしないようにする |
日本の破傷風は年間約100例で、報告の中心はワクチンの接種歴がない高齢者です。1968年に三種混合ワクチンが定期接種になったため、それ以前に生まれた世代は接種を受けていないことがあります。自分や親の接種歴がはっきりしない状態で泥の作業をしているなら、小さな傷でも洗って消毒し、汚れが入り込んだ傷は受診の判断を医師に委ねてください。
消石灰は、目に入ると失明することがある
浸水した家の消毒に消石灰を使う場合があります。厚生労働省の資料は、消石灰はアルカリ性で肌や目に触れると炎症を起こすとしたうえで、「特に、まいた消石灰が飛散して目に入ると、大変危険です。目に入った場合、失明する恐れがあるため、すぐに大量の水で洗い流し、医療機関を受診しましょう」と書いています。素手で触らないこと、まくときに風で飛ばないようにすることが前提になります。
そもそも千葉市は、床下や庭の消毒は原則不要という立場です。市が行う消毒も床上浸水の住居に限られ、床下と庭は対象外です。洗い流して乾かせば、細菌やカビの繁殖は基本的に抑えられます。消石灰をまく必要があるかどうかを先に考えたほうが、危険も手間も減ります。
土ぼこりは、目と口から入る
泥が乾いたあとの作業では、粉じんの被害が出ます。厚生労働省の資料では、土ぼこりが目に入って結膜炎になったり、口から入ってのどや肺に炎症を起こしたりすることがあるとしています。
- 丈夫な手袋、底の厚い靴を履く
- 長袖など肌の見えない服装にする
- ゴーグルとマスクを着ける
- 作業のあとは手を洗う
目に異物が入ったときは流水で洗い流します。洗ったあとも充血が続く場合は医師に相談してください。マスクは、古い建材を扱うときは粒子を捕集する性能が要ります。壊れた壁材や屋根材を割らずに運ぶ理由は、災害ごみのアスベストの記事にまとめています。
数日ぶりに家に戻るなら、まず窓を開ける
避難していて数日ぶりに自宅へ戻ると、屋内にカビが発生していることがあります。千葉市が示す清掃時の注意は次の順です。
- ドアと窓を開けて、しっかり換気する
- ほこりを吸わないようマスクを着ける
- けが予防のため手袋を着ける
- 汚泥を取り除き、しっかり乾燥させる
- 消毒薬を使う場合は、汚れを取り除いたあとに使う
- 清掃が終わったら手を洗う
順番が大事で、汚れが残ったまま消毒薬をまいても効きません。消毒の手順と薬の濃度は別の記事にまとめています。
8月下旬も30度を超える日が続く
国土交通省の第10報(8月21日10時現在)は、千葉県について「しばらく、最高気温30度以上の日が続く」として熱中症予防などの健康管理に注意を呼びかけています。24日から27日にかけては高気圧に覆われ、曇り時々晴れの見込みです。
千葉市は、のどが渇く前からこまめに水分と塩分をとること、体を冷やすこと、暑さを避けて涼しい場所で休憩することを挙げています。泥出しは水を扱うので体が冷えているように感じますが、長袖・長ズボンにマスクとゴーグルという装備は熱がこもります。作業を1時間続けたら休む、といった区切りを先に決めておくほうが安全です。
自宅の浴室が使えない場合、千葉市はいきいきプラザ、コミュニティセンターと市内スポーツ施設のシャワー室、民間3施設の浴場を無料で開放しています。入浴施設の開放と一時的な住まいに市別の一覧があります。
8月21日と22日は、午後に雷を伴って激しい雨が降る所があるという見通しが出ています。雷が鳴り始めたら屋外の作業をやめて建物の中へ入ってください。
眠れない、落ち着かないときの相談先
千葉県は、県精神保健福祉センターのホームページに「災害時心のケアについて」を掲載しています。心が疲れたと感じたときとして挙げられているのは、意識的に休息をとる、食事や水分をしっかりとる、適度に体を動かす、安心できる人に話を聞いてもらう、アルコールやカフェインを控える、という5つです。
| 相談先 | 電話 | 受付 |
|---|---|---|
| 千葉県精神保健福祉センター(千葉市以外にお住まいの方) | 043-307-3360 | 月〜金(祝日・年末年始を除く)9時〜18時30分 |
| 千葉市こころの健康センター | 043-204-1582 | 月〜金(祝休日・12月29日〜1月3日を除く)9時〜17時 |
| 松戸市 被災された市民への健康相談 | 047-366-7481(健康推進課) | 平日9時〜16時30分。保健師が電話と訪問で対応 |
県のセンターの電話相談は、千葉市を除く県内にお住まいの方が対象です。千葉市にお住まいの方は、こころの健康センターが窓口になります。松戸市は「病院に行ったほうがよいか分からない」段階で保健師に相談できる窓口を設けています。
確認先
- 千葉市 破傷風(8月19日更新)
- 千葉市 災害時における感染症対策について
- 厚生労働省 被災した家屋での感染症対策
- 千葉市 「令和8年8月千葉豪雨」ご自宅が床上浸水の被害にあわれた方へ(消毒の受付は8月28日まで)
- 千葉県精神保健福祉センター 災害時心のケアについて
- 国土交通省 令和8年8月千葉豪雨による被害状況等について(第10報)
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片付けは何日も続きます。傷を洗う、目を守る、休む時間を決める。この3つは道具を買い足さなくてもできます。傷が深いときと、目に異物が入って充血が引かないときは、作業を止めて医療機関にかかってください。
